明和徒然日記

第18回 引越し!

2025年5月26日、明和海運は本社事務所を移転した。
といっても電話番号も最寄り駅も変わらないほどの目と鼻の先にではあるが。
旧事務所が手狭になったことが移転の主な理由らしい。

「人は人生で平均4回しか引越しをしない。」
ある不動産会社のCMのキャッチコピーである。
これを多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれだろう。
ちなみに明和海運は創立以来、生麦→鶴見→西新橋→虎ノ門→三田→芝公園→芝公園と今回で6回目の本社事務所の移転である。

翻って自分自身はどうだっただろう。
子供の頃は父親のマイホーム購入や転勤(昔は「家を買うと転勤になる」という恐ろしいジンクスがあった)、その後は自分の大学進学のための上京、卒業後は就職や結婚、そして幾度かの転勤などの度に引越しを経験して、CMで言うところの平均よりは、かなり多くの引越しを経験して来た。
その度に新たな土地、新たな人々との出会いがあり、そして別れがあった。
そういう意味で引越しは人生をリセットする機会でもあった。
また引越しを機に余計な物を処分しようと思い立ったものの、いざ捨てる段になると妙に愛着が湧いてしまい、段ボール箱に入れて転居先まで運んだものの、そのまま入れっぱなしになっている物も数知れない。

ところで船の乗組員には転船という小さな引越しがある。
乗組員にとって船は職場でもあり生活の場でもあるので乗務する船が変わるという事は、職場の移転と住まいの引越しが同時に行われるのと同じ事である。
転船の理由は様々である。
退職者の補充、職位の変更、他船への臨時の応援、新造船への乗り換えなどがあるが、いずれもどちらかというと急に決まる事が多い。
しかし彼らも慣れたもので身の回りの最小限の荷物だけを抱えて新たな住まい(船)に颯爽と移っていく。
各種OA機器や大量の書類に囲まれて汲々としているサラリーマンの小生から見ればプロの船乗りの、その一種の潔さに憧憬の念を抱くことさえある。

さて、話は戻るが本社事務所の移転に伴うデスク周りやオフィスの書棚などの整理が一段落したら、今度は我が家の押し入れやクローゼットの中で何年も開けられずに埃を被っている段ボール箱の中身の整理でもしてみる事としようか。
何が出てくるか楽しみでもあり不安でもある。

筆者 佐藤兼好

移転後の本社事務所の入居する芝公園大門通プラザビル

移転後の本社事務所の入居する芝公園大門通プラザビル